2024/10/20
令和6年 10月号「年末調整の季節がやってきます…
コラム
令和3年3月、令和3年度税制改正がなされました。
その改正内容のうち納税環境整備の中で「電子帳簿等保存制度の見直し」として次のように説明されています。
『経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、帳簿書類を電子的に保存する際の手続きを抜本的に簡素化します(令和4年1月1日以後適用)。』
帳簿等について改正前は、税務署長の事前承認が必要で検索機能や訂正削除履歴を備えた信頼性の高いシステムしか認めていませんでしたが、
改正後は、税務署長の事前承認を廃止し、モニターや説明書の備付け等の最低限の要件を満たす電子帳簿(正規の簿記の原則に従って記帳されるものに限る)も電子データのまま保存することが可能になり、
信頼性の高い電子帳簿(優良な電子帳簿)については、インセンティブにより差別化(過少申告加算税を5%軽減や青色申告特別控除を10万円上乗せして65万円とする)されることに変わりました。
受領する請求書等について改正前は、税務署長の事前承認が必要で、書面や電子データからの保存について、紙原本を確認してスキャナ保存をする、
あるいは電子データをそのまま保存するにも一定日数内でのタイムスタンプ付与の徹底や高度な検索機能を確保できない場合は紙での保存が必要でした。
改正後は、税務署長の事前承認を廃止し、紙原本の確認が不要となりスキャン後原本の廃棄ができ、タイムスタンプ付与までの期間も最長2か月以内とされ、
検索要件については「日付、金額、取引先」に限定されて、一定の小規模事業者(売上高1,000万円以下である事業者)で検索要求に応じることができるようにしているときは検索要件不要とされました。
また簡素化する代わりに、電子データの改ざん等による不正に対しては、重加算税を10%加算する措置が創設されました。
さらに、税制改正の解説において、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の見直しとして、次のように説明がなされています。
改正前は、電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力書面又はCOMの保存により、その電磁的記録の保存に代えることができていました。
改正後は、この措置が廃止されて電磁的記録のまま保存することが必要になり、真実性の確保の要件として電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、保存を行なう者等を確認することができるようにしておくこととされました。
以上が改正の概要となりますが、コロナ禍においてDXを進めるための強引とも思える改正で、時代の要請からも仕方がないのですけれど、
丁寧な事前説明が必要だったと思いますし、運用にあたってはさらに丁寧な指導が必要だと受け止めています。
インボイス制度との関連においては、電子インボイスが最終形ではないかと想っておりますが、今後現場においての対応が極めて大事だと感じておりますので、さらなる勉強を共に進めてまいりましょう。
(今野 拓治)
最近は「おうち時間」が増えた生活にもすっかり慣れ、読書量が多少なり増えました。
今月に入って伊藤計劃(けいがく)氏の『ハーモニー』を読み返していました。
戦争とウイルスの蔓延によって人びとの意識が変わり、高度な医療経済社会を構築した世界を描くSF小説です。
この社会体制の中で人びとは公共の資源として扱われ、その身体を毀損(きそん)することは許されません。
WatchMe(ウォッチミー)という身体の状態を監視するナノマシンを体内に入れ、病気や怪我などはナノマシンが治療をする一方、飲酒や喫煙など健康を害する行動も監視され法的に罰せられる世界です。
作品の主人公たちはナノマシンを体内に入れる前の未成年のうちに、肉体を毀損する最大の手段である自死をもって政府に反抗する機会を狙うところから物語は動き出します。
本作は2008年の作品ですが、舞台が2019年であることやそのモチーフがどこか現実とリンクしていて非常にユニークです。
コロナ禍中で連日のように報道されたロックダウン等私権制限の是非や、医療機関への患者受け入れ命令の是非など、本作の社会体制から現実に紐付けて想像して楽しむ余地があると思います。
著者は2009年に34歳という若さでこの世を去り、本作執筆以前から悪性腫瘍との闘病をしておられました。
道理を言うのは簡単ですが、現実では生き死にと密接に関わる人たちがいます。
こうしたことをじっくり考えられるところに、やはり本にしかない魅力があります。
皆さまとお会いする際にはおうち時間の過ごし方で盛り上がれましたら幸いです。
(岡島 俊)
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